事業紹介About this project

特徴

現在の日本は、全人口のうち65歳以上の方が21%を超える、超高齢社会であり、健康寿命の延伸が重視されており、これを実現する施策の一つとして、医療の質の向上等のため、医療データの利活用を推進する取り組みが実施されてきたところです。
しかしながら、医療データの利活用を推進する上で、高度な知識・技術を有する人材の不足が指摘されており、人材育成は喫緊の課題となっています。
本事業では本学及び連携大学が密接に連携して、それぞれの強みや特色を活かして、医療リアルワールドデータを利用・活用できる総合力と実践力を兼ね備えたトップレベルの人材を育成する事業です。

医療リアルワールドデータとは

電子カルテシステムの普及やデータ収集基盤の社会的整備に伴い、医療現場からビッグデータを集められるようになりました。これを医療リアルワールドデータといいます。価値のあるデータではありますが、情報量が膨大である上に、臨床現場のデータであるがゆえに偏りや欠損などがあることからこれらを活用するためには適切な処理や技術が必要です。

育成する人材像

  1. 医療リアルワールドデータの特性・意義やバイアスを理解できる
  2. データ標準化と変換及びクレンジングにより解析可能な形式のデータベースを構築できる
  3. 課題解決を目的とした知見を得るための具体的なデータ処理ができる
  4. これらについて自ら実践し、指導することができる

受講資格

  • 医師・看護師をはじめとする医療免許保有者
  • 医療機関外で医療関連データ解析の経験を有する者

連携大学

本事業は以下の大学で行っています。
代表校:東京大学(大学院医学系研究科・医学部附属病院)
連携校:筑波大学・富山大学・自治医科大学
協力校:国際医療福祉大学

本事業の教育プログラムが提供する2つのコース

教育プログラムは2020年度に実践科目・知識科目・実地課題研修科目の合計9科目の教育カリキュラムを新たに開発し、コースを開講しました。2022年度はこれまでの2コースに加え、インテンシブコース修了者が一般履修コースの2年目の講義等の履修継続を希望する場合の受講を可能とする「一般履修コース2年次」を開講します。

一般履修コース   :開設時期 2021年度5月
           履修期間 2年
インテンシブコース :開設時期 2021年度5月
            履修期間 1年以内
一般履修コース2年次:開設時期 2022年度5月
           履修期間 1年 ※インテンテンシブコース修了者のみ選択可

本事業の特徴

  1. 多様な医療の大規模生データ(10万件以上)を実際に扱う複数の研究機関のデータ解析現場に常駐し、直接スタッフとともに大規模生データを解析する「データ実地研修科目」を必修とします。
  2. 医療データを扱う実務経験者も対象に、匿名加工後データを医療機関外で扱う人材も養成します。
  3. 大規模データ収集・クレンジング・解析を一人で行う技術を習得した上で、役割分担できるチームを編成して課題解決するために、データ分析の実務マネジメント力を養う科目を設定します。
  4. 本プログラムで利用する大規模な生データを対象に、履修生と議論を行いながら実際に匿名加工を行います。また、適切な手法で匿名加工した成果物の一部は、今後の大規模医療データを使用する新たな教育リソースとして公開し、後続の他の人材育成事業でも活用できる教育資源とします。
  5. 仕事に従事中の医療職者や企業に勤務する社会人を対象にするため、必修科目はすべて平日18時以降か土曜に開講します。

東京大学の履修証明プログラム

一般履修コース及びインテンシブコースは、いずれも東京大学の履修証明プログラムとして開設されたコースです。このコースは、学校教育法第百五条に基づく「大学における特別の課程」であり、修了者には履修証明プログラムの修了者として履修証明書が発行されます。
履修証明プログラムとは、平成19年の学校教育法の改正により創設された「履修証明制度」に基づくもので、主に社会人を対象として体系的な知識・技術等の習得を目指した教育プログラムを指します。履修証明プログラムは学位課程と異なり、他の学位課程の単位や学位が授与されるものではないためご留意ください。

この人材育成事業は2019年度文部科学省の医療データ人材育成事業に、東京大学が代表校となって応募し採択された事業です。文部科学省の本事業に関するサイトはこちらです。